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ゼロカーボンとは・意味

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ゼロカーボンとは?

ゼロカーボンとは、企業や家庭が排出する二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス(カーボン)の「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、排出量の合計を実質的にゼロにすることを意味する。カーボンニュートラル、ネットゼロと同義であり、海外ではネットゼロと呼ばれることが多い。

ゼロカーボンの背景

地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年に196の国と地域によってパリ協定が採択され、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること、また今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること等を合意した。

オックスフォード大学で地球システム科学の教授を務めるマイルズ・アレン氏は、1.5℃という目標は「物理的、技術的、そして経済的にも達成可能」としており、各国が「2050年ゼロカーボン」に向けてこれらの取り組みを進めている。

ゼロカーボンの必要性

ゼロカーボンの必要性について考えるとき、気候変動と地球温暖化の現状、またリスクを理解することが欠かせない。

まず、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)は、人間の活動による気温上昇は、2017年の時点で産業革命以前に比べて約1℃であり、現在は10年につき0.2℃の割合で上昇を続けていると警鐘を鳴らしている。

これらの上昇値はあくまで世界平均であり、地域によってはこの平均値を上回る温暖化が起きている。IPCCによると、世界人口の20~40%が、2006年から2015年の間に少なくとも一つの季節で1.5℃以上の気温上昇を経験したとの調査報告を出している。

米国航空宇宙局(NASA)が公表した報告書「懸念すべき温度:なぜ世界の気温変化を注視すべきなのか」にも、「気温の上昇速度は、地域によって異なり、一般的に海よりも陸の方が上昇値が高い。温暖化が最も顕著に現れているのは、寒冷な季節の北極圏と温暖な季節の中緯度の地域である」と記されている。

世界の年平均気温偏差

世界の年平均気温偏差 出典:気象庁

IPCCの報告によると、産業革命前に50年に1度しか起きなかったレベルの極端な高温は、世界平均気温が既に1℃温暖化した現在では4.8倍、温暖化が1.5℃まで進めば8.6倍、2℃まで進めば13.9倍の頻度で生じると評価された。土壌からの蒸発が増えることなどにより、地域によっては干ばつが深刻化することも予測されている。その他にもIPCCは温暖化によるリスクをまとめている。

  • 高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
  • 大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
  • 極端な気象現象によるインフラ機能停止
  • 熱波による死亡や疾病
  • 気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
  • 水資源不足と農業生産減少
  • 陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失
  • 同じく海域の生態系、生物多様性への影響

温室効果ガスの排出量がこのまま増え続ければ、地球の自然環境は大きく損なわれることになり、仮に気温上昇を1.5度に抑えられてもある程度の影響を受けることになると予想されている。

ゼロカーボンに向けた取り組み

では、具体的にはどのような方法でゼロカーボンを達成できるのだろうか。以下はその例だ。

カーボンオフセット

カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、できるだけ排出量が減るよう削減努力を行ったうえでどうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせる方法のこと。

日本では、カーボン・オフセットに用いる温室効果ガスの排出削減量・吸収量を信頼性のあるものとするため、国内の排出削減活動や森林整備によって生じた排出削減・吸収量を認証する「オフセット・クレジット(J-VER)制度」を2008年11月に創設し、2013年度からは、J-VER制度及び国内クレジット制度が発展的に統合したJ-クレジット制度が開始している。

再生可能エネルギー

経済産業省資源エネルギー庁の一次エネルギー国内供給の推移を見ると、2019年度には石油37.1%、石炭25.3%、天然ガス22.4%と、化石エネルギーが約85%を占めており、2050年までにゼロカーボンを実現するためには、太陽光発電、風力発電、地熱発電といった再生可能エネルギーへの移行が不可欠となる。

そこで日本は、社会全体としての2050年までのカーボンニュートラルを実現するため、再生可能エネルギー導入の拡大・メタンを合成する技術・合成燃料を開発する方針で検討を進めている。

諸外国も、国家として再生可能エネルギーへの転換を急いでいる。

アメリカは、2021年1月にバイデンが大統領に就任し、パリ協定に復帰。気候変動への対策として電力の脱炭素化やグリーンエネルギー化を目指し、資金として4年間で2兆ドルのインフラ投資を行う方針。

欧州はコロナからの経済回復にあたって「グリーンリカバリー」を発表した。グリーンリカバリーでは、コロナ禍による経済ダメージからの再起と、脱炭素社会などの環境問題への取り組みの両立を目指している。

まとめ

現在ではESG投資が追い風となり、企業にとってもゼロカーボンを推進することはメリットも受けられるようになっている。持続可能な社会を実現するために政府や有識者だけでなく、企業、そして我々個人もゼロカーボンを目指し取り組みを強化する必要がある。

【参照サイト】Global Warming of 1.5 ºC(IPCC)
【参照サイト】IPCC第6次評価報告書で明らかになった気候科学の最新知見(国立環境研究所・江守正多
【参照サイト】世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2021年)
【参照サイト】地球温暖化が進むとどうなる?その影響は?(WWF JAPAN)
【参照サイト】カーボンニュートラルとは
【参照サイト】地球温暖化による世界の気温上昇、「1.5℃」と「2℃」では大きな差(WORLD ECONOMIC FORUM)
【参照サイト】ゼロカーボンとは|世界的な推進による影響・取り組む企業の事例

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